がん保険の選び方|後悔しない保障の決め方を徹底解説

この記事で解決できるお悩み
  • がん保険を選ぶ時に何を優先すべきかわからない
  • 公的制度でどこまでカバーされるか知りたい
  • 自分の状況に合った保障の決め方を知りたい

「がん保険って、どれを選べばいいの?」

診断一時金、通院給付、先進医療……。
保障の種類が多すぎて、何を基準に決めればいいかわからない。

そんな悩みを抱えていませんか。

実は、がん保険選びにはシンプルな「考え方の順番」があります。

公的制度でカバーされる範囲を知り、自分に足りない保障を見極める。この2つを押さえるだけで、ムダのない保険設計ができるようになります。

この記事では、がん治療にかかるお金の実態から、約款のチェックポイントまで、後悔しない選び方を5つのステップで解説します。

目次

がん保険を選ぶ前に知っておくべき負担費用と公的制度

がん保険を検討するとき、まず知っておきたいのが「公的医療保険でどこまでカバーされるか」です。

公的制度の守備範囲を理解すれば、民間保険で備えるべき金額が見えてきます。

公的医療保険でカバーされる範囲

日本の公的医療保険には、大きく2つの仕組みがあります。

1つは「3割負担」、もう1つは「高額療養費制度」です。

医療機関の窓口で支払う自己負担は、原則として医療費総額の3割です。たとえば100万円の手術を受けた場合、窓口での支払いは30万円となります。

さらに、高額療養費制度を使えば、ひと月の自己負担に上限が設けられます。

高額療養費制度の自己負担上限(69歳以下・ひと月あたり)

スクロールできます
所得区分(目安)医療費100万円の場合の
自己負担上限
計算式
年収1,160万円以上254,180円252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収770万〜1,160万円171,820円167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収370万〜770万円87,430円80,100円+(医療費-267,000円)×1%
年収〜370万円57,600円57,600円(定額)
住民税非課税世帯35,400円35,400円(定額)
  • 制度改正により変更の可能性があります。

年収約370万〜770万円の方であれば、ひと月の上限は約8万円程度です。超過分は高額療養費として支給されます。

加えて、直近12カ月のうち3回以上高額療養費を使った場合は「多数回該当」となり、4回目以降は上限額がさらに下がります。たとえば年収約370万〜770万円の方なら、4万4,400円まで軽減されます。

公的医療保険が手厚い日本では、保険適用の治療であれば、想像以上に自己負担を抑えられるのです。

公的保険の対象外になりやすい費用

一方で、公的医療保険が効かない費用もあります。代表的なものを確認しておきましょう。

公的保険の対象外になりやすい費用

差額ベッド代(個室料)1日平均8,400円程度。
10日間の入院で約8万4,000円
入院中の食事代1食510円×3食×日数(1日1,530円)
通院時の交通費自宅から病院までの往復費用
医療用ウィッグ脱毛対策として数万円〜10万円以上
家族の生活費・介護費用仕事を休む場合の収入減も含む

たとえば差額ベッド代は、1人部屋で1日平均8,400円ほどかかります。20日間の入院なら、ベッド代だけで約17万円の出費です。

これらはすべて全額自己負担となるため、「治療費以外のお金」をどう準備するかが、がん保険選びのポイントになります。

先進医療・自由診療は「対象外」になりやすい

先進医療の技術料や自由診療の費用は、公的医療保険の対象外です。

高額療養費制度も使えず、全額自己負担になります。

先進医療の代表例として、粒子線治療(陽子線治療・重粒子線治療)があります。

【先進医療の費用例(2025年1月時点)】

陽子線治療約280万〜350万円
重粒子線治療約300万〜350万円

ただし、近年は保険適用が広がっており、前立腺がんや頭頸部がんなど一部のがんは、すでに公的保険で受けられるようになっています。2024年6月からは早期肺がん(ステージI〜IIA期)も保険適用になりました。

先進医療への備えは重要ですが、すべてのがんで必要になるわけではありません。

詳しい判断基準は、後半の「保障別の比較ポイント③:先進医療特約」で解説します。

  • 技術料とは、診察、検査、手術、処置、放射線治療などの「腕(技術)」や「行為」への対価。先進医療の診察・入院料など、通常診療と共通する部分は保険の対象です。

がん保険の種類と保障内容

がん保険にはさまざまな種類があります。

保障内容と契約タイプの違いを整理しておきましょう。

保障内容の4つの種類

がん保険の保障は、大きく4つに分けられます。

それぞれの特徴を押さえておきましょう。

  1. 診断一時金(がん診断給付金)
    がんと診断されたときに、まとまったお金を一括で受け取れます使い道は自由で、治療費はもちろん、生活費や収入減の補填にも使えます。
    金額は50万〜200万円で設定するケースが多く、100万円が一般的な目安です。
  2. 治療・通院給付
    抗がん剤治療や放射線治療など、特定の治療を受けたときに給付金が出ます。月ごとに支払われるタイプや、治療1回につき支払われるタイプがあります。
    長期にわたる治療に対応しやすく、近年のがん治療スタイルに合った保障といえます。
  3. 入院・手術給付
    入院日数に応じて「入院給付金」が、手術を受けると「手術給付金」が支払われます。
    かつてはがん保険の中心的な保障でしたが、最近は入院日数が短くなる傾向にあり、重要度は下がりつつあります。
  4. 先進医療給付
    陽子線治療などの先進医療を受けたとき、技術料を保障します。
    一般に限度額は数千万円程度保険料は月100円〜数百円程度と安価です。

先進医療を受ける確率自体は低いですが、万が一のときに数百万円を自己負担しなくて済む安心感があります。

契約タイプの違い

がん保険の契約タイプは、期間」と「貯蓄性で分類できます。

期間による違い

  • 終身型
    保障が一生涯続き、保険料も加入時から変わらない。若いうちに入れば保険料を抑えやすい
  • 定期型
    5年・10年など一定期間だけ保障。更新ごとに保険料が上がる傾向がある

長く続けるなら終身型、一定期間だけ手厚くしたいなら定期型が向いています。

貯蓄性による違い

  • 掛け捨て型
    解約してもお金は戻らない。その分、保険料が安い
  • 貯蓄型
    満期金や解約返戻金がある。保険料は割高になる

がんに備える目的であれば、掛け捨て型で保障を厚くするほうが合理的なケースが多いでしょう。

保険料を左右する要素と安くする考え方

がん保険の保険料は、主に以下の要素で決まります。

加入時の年齢若いほど安い
保障の範囲と金額手厚いほど高い
給付条件支払いやすい条件ほど高い
給付回数無制限より回数制限ありのほうが安い
先進医療特約の有無付けると月100円程度プラス

保険料を抑えたいときは、「本当に必要な保障に絞る」ことが基本です。

入院給付を外す、診断一時金を50万円に下げる、先進医療は他の保険で備える—といった工夫で、月々の負担を減らせます。

ただし、安さだけで選ぶと、いざというとき保障が足りない恐れもあります。「自分にとって必要な保障」を見極めたうえで、保険料とのバランスを取ることが大切です。

がん保険を選ぶときの3つのポイント

がん保険を選ぶ際は、漠然と「保障が多いほうがいい」と考えるのではなく、自分にとって何が必要かを明確にすることが大切です。

3つのポイントで整理してみましょう。

1. 何に備える?

がん保険で備えるべきお金は、大きく3つに分けられます。

  • 治療費
    公的医療保険が効く範囲なら、高額療養費制度で月8万円程度に抑えられます。
    ただし、治療が長引けば累計の負担は増えます。半年間治療が続けば、約50万円の出費になる計算です。
  • 生活費
    治療中に働けなくなれば、収入が減ります。
    会社員なら傷病手当金(給与の約3分の2)が最長1年6カ月支給されますが、自営業やフリーランスにはこの制度がありません。
    収入減に備える場合は、診断一時金でカバーするのが現実的です。
  • 諸費用
    差額ベッド代、交通費、ウィッグ代、家事代行費用など、公的保険の対象外になるお金です。
    これらは自由に使える「まとまったお金」で備えるのが効率的です。

何に備えたいかを明確にすることで、必要な保障の種類と金額が見えてきます。

2. どう受け取る?

給付金の受け取り方には、大きく2つのタイプがあります。

  • 診断一時金タイプ
    がんと診断されたときに、まとまったお金を一括で受け取ります。使い道が自由なので、治療費・生活費・諸費用のどれにも使えます。
    最初にお金が入る安心感がある一方、長期治療には追加の備えが必要になることもあります。
  • 通院・治療給付タイプ
    治療を受けるごとに給付金が出ます。「抗がん剤治療を受けた月ごとに10万円」といった形式が一般的です。
    治療が長引くほど給付回数が増えるため、長期治療との相性がよいタイプです。

    ただし、治療しない月は給付がないため、生活費の補填には向きません。

どちらか一方ではなく、「診断一時金+治療給付」の組み合わせで設計するケースも多くあります。

3. いくら必要?

必要な保障額は、次の計算式で目安を出せます。

必要保障額の計算式

(月々の不足額× 治療期間 + 諸費用 − 貯蓄 = 必要保障額

たとえば、以下のケースで考えてみましょう。

月々の生活費30万円
治療中の収入
(傷病手当金など)
20万円
治療期間6カ月
諸費用
(差額ベッド代・交通費など)
30万円
すぐに使える貯蓄50万円

計算すると、
(30万−20万)×6カ月 + 30万 − 50万 = 40万円

この場合、最低でも40万円の保障があれば、当面の生活は成り立つ計算です。診断一時金を100万円に設定すれば、ある程度の余裕を持った備えになります。

貯蓄が十分にある方は、保険で備える金額を抑えても問題ありません。反対に貯蓄が少ない方や、自営業で傷病手当金がない方は、診断一時金を厚めに設定しておくと安心です。

がん保険選びの重要ポイント①:診断一時金

ここからは、保障ごとの比較ポイントを見ていきます。

まずは、最も優先すべき「診断一時金」からです。

診断一時金はいくら必要?

診断一時金の金額は、「貯蓄額」と「当面の生活費」から逆算して決めます。

一般的な目安として、50万〜100万円で設定する方が多いです。貯蓄に余裕があれば50万円、収入が不安定な方や自営業の方は100万〜200万円を検討してもよいでしょう。

考え方のポイントは「治療開始後3〜6カ月をどう乗り切るか」です。

この期間に必要なお金を見積もり、貯蓄で足りない分を診断一時金でカバーするイメージで考えてみてください。

何回受け取れる?

診断一時金は「初回のみ」の商品と、「複数回」受け取れる商品があります。

  • 初回のみ
    保険料が安い。
    がんは1度きりと考える方向け
  • 複数回
    再発・転移に対応できる。
    保険料はやや高め

がんは再発・転移のリスクがある病気です。

長期的なリスクに備えたい方は、複数回受け取れるタイプを選ぶと安心でしょう。

2回目以降の条件で差が出るポイント

複数回受け取れるタイプでも、2回目以降の支払条件は商品によって異なります。

主な支払条件のパターン
  • 「前回の給付から2年経過」で再度給付
  • 「新たながん(転移・再発)と診断確定」で給付
  • 「治療を目的とした入院」で給付

条件が厳しいと、再発しても給付金が出ないことがあります。たとえば「2年経過」が条件の場合、1年半後に再発しても対象外です。

約款の「支払事由」を必ず確認し、どんな条件で2回目以降が支払われるかをチェックしておきましょう。

上皮内新生物(上皮内がん)は対象?

上皮内新生物とは、がん細胞が粘膜の表面にとどまっている状態です。

「上皮内がん」「非浸潤がん」とも呼ばれ、転移のリスクが低く、早期に切除すれば完治が見込めます。

がん保険によって、上皮内新生物の扱いは3パターンに分かれます。

【上皮内新生物の保障パターン】

  • 同額保障
    悪性新生物と同じ金額が受け取れる
  • 一部保障
    悪性新生物の50%など、減額される
  • 対象外
    給付金が出ない

がんと診断された人の約11%が上皮内新生物であり、女性は子宮頸部や乳房で多く見つかる傾向があります。

特に女性の方は、上皮内新生物も保障対象になるかどうかを確認しておくことをおすすめします。

古い契約のがん保険では「対象外」になっているケースもあるため、見直しの際はここもチェックポイントです。

がん保険選びの重要ポイント②:通院・治療給付

近年のがん治療は入院日数が短くなり、通院で抗がん剤治療や放射線治療を続けるケースが増えています。

通院・治療給付の内容をしっかり確認しておきましょう。

対象となる治療の範囲は?

通院・治療給付で重要なのは、「どの治療が給付対象になるか」です。

多くの商品では、以下の3大治療が対象になっています。

  • 手術
  • 放射線治療
  • 抗がん剤治療(化学療法)

ただし、抗がん剤治療の定義は商品によって異なります。「点滴による投与のみ対象」なのか、「経口薬(飲み薬)も対象」なのかで、給付の有無が分かれることがあります。

近年はホルモン療法や分子標的薬など、新しい治療法も増えています。

加入前に「自分が受ける可能性のある治療」が対象かどうか、確認しておきましょう。

通院給付は「日数型」か「治療行為型」か

通院給付には、大きく2つのタイプがあります。

  • 日数型
    通院した日数に応じて、1日あたり5,000〜1万円などが支払われます。日数に上限がある商品も多く、「年間120日まで」といった制限があることも。
  • 治療行為型
    「抗がん剤治療を受けた月」など、特定の治療行為を行った月に給付金が出ます。月10万〜20万円といった設定が一般的です。

近年のがん治療は、入院よりも通院が主流になっています。

日数型では給付が少なくなるケースもあるため、治療行為型のほうが実態に合いやすいといえます。

治療が長期化したときの支払設計

がん治療は数年単位で続くことがあります。

特に抗がん剤治療は、副作用をみながら長期間継続するケースも珍しくありません。

長期治療に備えるには、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 支払回数に上限があるか(回数無制限か、通算○回までか)
  • 支払間隔はどうなっているか(月1回か、治療ごとか)
  • 同じ治療を継続した場合の条件(毎月支払われるか)

たとえば「支払は通算60回まで」という条件の場合、5年間(60カ月)の治療でちょうど上限に達します。再発した場合に備えがなくなる恐れがあるため、上限の有無は重要なチェック項目です。

また、「通院」の定義も商品によって異なります。

抗がん剤の点滴投与や放射線照射は給付対象になりやすい一方、「薬の処方のみ」「検査のみ」「経過観察」は対象外になることが多いです。

治療後のフォローアップ通院は給付対象にならないことが多いため、期待しすぎないようにしましょう。

保障別の比較ポイント③:先進医療特約

先進医療特約は、がん保険選びで「あったほうがいいのかな」と迷う方が多い保障です。

よくある誤解と、付けるかどうかの判断基準を整理しておきましょう。

先進医療特約でカバーされる範囲

先進医療特約で保障されるのは、基本的に「技術料」のみです。

入院費、検査費、薬代などは公的医療保険の対象となり、先進医療特約の給付対象にはなりません。

たとえば陽子線治療を受けた場合、技術料の約280万〜350万円は先進医療特約でカバーできます。しかし、入院費や検査費は別途かかり、その分は3割負担+高額療養費制度の対象です。

「先進医療特約があれば全部タダ」というわけではない点を理解しておきましょう。

「先進医療さえあれば安心」の落とし穴

先進医療を受けられるのは、ごく一部のケースに限られます。

  • 対象となるがんの種類・ステージが限定されている
  • 実施できる医療機関が全国で数カ所しかない
  • 医師の判断で先進医療が適さないと判断されることもある

実際に先進医療を受ける人の割合は、がん患者全体のごく一部です。「先進医療特約さえあれば安心」と考えるのは危険といえます。

まずは診断一時金や治療給付で基本の備えを固め、先進医療特約は「あったら安心」程度の位置づけで考えるのが現実的でしょう。

付けるかどうかの判断基準

先進医療特約の保険料は、月100円程度と非常に安価です。

先進医療特約の目安額
  • 保障額の上限:1,000万〜2,000万円
  • 保険料:月100円前後

(参考)粒子線治療の技術料:約280万〜350万円

費用対効果で考えると、「月100円で数百万円の保障」は悪くない選択です。

ただし、すでに医療保険に先進医療特約を付けているなら、がん保険で追加する必要はありません。

先進医療特約は「1つの保険に付けておけば十分」と覚えておきましょう。

【付けたほうがよいケース】

  • 医療保険に先進医療特約が付いていない
  • 月100円程度の保険料なら気にならない

【付けなくてよいケース】

  • すでに医療保険に先進医療特約が付いている
  • 保険料を最小限に抑えたい

がん保険選びは既存保険との重複チェックも重要

がん保険を検討する際、見落としがちなのが「すでに加入している保険との重複」です。

医療保険やがん特約との違いを把握し、ムダな保険料を払わないようにしましょう。

重複しやすい保障

すでに医療保険に加入している方は、がん保険との重複に注意が必要です。

特に重複しやすいのは以下の保障です。

【重複しやすい保障】

  • 入院給付:医療保険にもある
  • 手術給付:医療保険にもある
  • 先進医療特約:医療保険に付けていることが多い

たとえば、医療保険に「入院日額1万円」が付いているなら、がん保険で入院給付を追加する必要性は低くなります。

同じ保障に二重でお金を払っている状態は避けたいところです。

加入済みの保険のチェック項目

重複を防ぐには、今入っている保険の「棚卸し」が有効です。

以下の手順で確認してみましょう。

チェック表

1. 医療保険
入院給付日額◯円、限度日数◯日
手術給付あり・なし
先進医療特約あり・なし
がん特約あり・なし
2. 団体保険(会社の保険)
がんの入院あり・なし
診断一時金あり・なし、金額◯円
退職後の継続可能・不可
3. 既存のがん保険・がん特約
診断一時金金額◯円、回数◯回
通院・治療給付あり・なし
上皮内新生物同額・減額・対象外

特に見落としやすいのが「団体保険」です。

会社で自動加入しているケースもあるため、福利厚生の資料を確認してみてください。

ただし、退職すると保障がなくなることが多い点には注意が必要です。

削る順番と残すべき保障

重複が見つかったら、優先度の低いものから削っていきます。

基本的な順番は以下のとおりです。

削る順番

  • 入院・手術給付
    医療保険でカバーできることが多い
  •  先進医療特約
    医療保険に付いていれば不要
  • 通院・治療給付
    重複があれば調整
  • 診断一時金
    重要。最後まで残す

診断一時金は「使い道が自由」という点で、最も汎用性が高い保障です。

他の保障と重複しにくいため、優先的に確保しておきたいところです。

重複を削ったあとは、以下の保障を残すことを意識しましょう。

  • 自由に使えるまとまったお金(診断一時金)
  • 長期治療をカバーできる仕組み(治療給付 or 複数回の診断一時金)

入院・手術は医療保険に任せ、がん保険は「診断一時金」と「長期治療への備え」に特化させる。この考え方なら、保険料を抑えつつ、必要な保障を確保できます。

がん保険選びの失敗を防ぐ|約款のチェック項目6つ

がん保険で最も避けたいのは、「がんになったのに給付金が出なかった」という事態です。

契約前に約款で確認しておくべき6つのポイントを整理しました。

待機期間・責任開始日

がん保険には、契約してすぐには保障が始まらない商品が多く、一般的に契約から90日間の「待機期間」があります。

この期間中にがんと診断されても、給付金は支払われません。

保障が始まる日

責任開始日
契約日から91日目以降(=待機期間が終わった翌日)

この日以降に「がん」と診断された場合、保障の対象になる。

【待機期間中にがんと診断された場合】

  • がんに関する給付金は支払われない
  • さらに商品によっては、契約が解除(無効扱い)になることがある
    → つまり「保険が使えない」だけでなく、「契約自体が続かない」ケースもある。

「明日からがんに備えたい」と思っても、実際に保障が始まるのは約3カ月後です。

早めの検討が大切な理由はここにあります。

診断の定義

「がんと診断」の定義は、約款で細かく定められています。

【確認すべきポイント】

  • 診断確定日
    病理検査の結果が出た日を指すことが多い
  • 初回罹患
    「生まれて初めてのがん」が条件になることがある
  • 再発・転移
    「新たながん」と認められるかどうか

たとえば「初回罹患のみ」が条件の商品では、過去にがんの既往歴があると給付対象外になることがあります。

健康診断で「要精密検査」と言われた経験がある方は、特に注意が必要です。

治療・通院の定義

治療給付や通院給付では、「何をもって治療とするか」が重要です。

【確認すべきポイント】

  • 対象治療
    手術・放射線・抗がん剤の3大治療のみか、ホルモン療法も含むか
  • 通院の定義
    治療目的の通院に限るか、検査・経過観察も含むか
  • 入院の有無
    「入院後の通院」に限定されていないか

古い商品では「入院後の通院のみ対象」という条件が付いていることがあります。

最近のがん治療は外来が中心なので、この条件だと給付を受けにくくなります。

回数制限・支払間隔

給付金の回数や間隔にも、商品ごとの違いがあります。

【確認すべきポイント】

  • 回数制限
    「通算◯回まで」「年回まで」など
  • 支払間隔
    「前回の支払から年経過後」など
  • 通算限度
    診断一時金・治療給付それぞれの上限

たとえば「診断一時金は2年に1回」という条件の場合、1年半後に再発しても給付は受けられません。

がんの再発リスクを考えると、支払間隔は短いほうが有利です。

免責・不支払事由

約款には「給付金を支払わない場合(免責事由・不支払事由)」が記載されています。

よくある免責・不支払事由
  • 責任開始日前に診断されたがん
  • 告知義務違反があった場合
  • 保険料の払込みが滞っている場合
  • 上皮内新生物(商品によっては対象外)
  • 特定の皮膚がん(悪性黒色腫以外)

「こんなはずじゃなかった」を防ぐには、「支払われないケース」を事前に把握しておくことが大切です。

約款の「支払事由」と「免責事由」のページは、面倒でも目を通しておきましょう。

告知(持病・通院歴)

がん保険に加入する際は、健康状態の「告知」が必要です。

告知内容によっては、加入を断られたり、条件が付いたりすることがあります。

告知で聞かれる主な内容
  • 過去5年以内の病気・ケガの有無
  • 現在の治療中の病気
  • 過去のがん既往歴
  • 健康診断での指摘事項

告知義務違反があると、後から保険金が支払われないこともあります。正直に、正確に告知することが大前提です。

持病がある方や、過去にがんの既往歴がある方は、「引受緩和型」や「無選択型」のがん保険を検討する方法もあります。保険料は割高になりますが、加入のハードルは下がります。

がん保険を選ぶ時の5ステップ

STEP
既契約を棚卸しする

まずは、今入っている保険を確認します。

  • 医療保険の保障内容(入院・手術・先進医療)
  • がん特約の有無と内容
  • 会社の団体保険や共済の内容

保険証券や契約内容のお知らせを手元に用意し、何がどこまでカバーされているかを書き出してみてください。

STEP
必要保障額を計算する

次に、公的制度でカバーされる範囲を把握します。

  • 高額療養費制度で月々の上限はいくらか
  • 傷病手当金は受け取れるか(会社員のみ)
  • すぐに使える貯蓄はいくらあるか

ここから「公的制度では足りない金額」を算出し、必要保障額の目安を出します。

前述の計算式「(月々の不足額 × 治療期間) + 諸費用 − 貯蓄」を使ってみてください。

STEP
優先順位に沿って設計する

保障を組み立てる順番は、以下のとおりです。

  1. 診断一時金
    最優先で確保。50万〜100万円が目安
  2. 治療・通院給付
    長期治療に備えたい場合に追加
  3. 先進医療特約
    医療保険に付いていなければ追加

入院・手術給付は、医療保険でカバーできるなら省略してOKです。

STEP
約款をチェックする

候補を3つ程度に絞ったら、約款を比較します。

  • 待機期間・責任開始日
  • 診断一時金の支払条件(回数・間隔・上皮内新生物)
  • 治療給付の対象範囲
  • 免責事由・不支払事由

保険料だけでなく、「いざというとき本当に支払われるか」をチェックしましょう。

STEP
迷ったら専門家に相談する

自分だけで決めきれない場合は、専門家に相談するのも一つの方法です。

  • 保険ショップ(複数社の商品を比較できる)
  • ファイナンシャルプランナー(FP)
  • 保険会社の相談窓口

相談する際は、「何に備えたいか」「予算はいくらか」を事前に整理しておくと、具体的な提案を受けやすくなります。

まとめ

がん保険選びで後悔しないためには、「公的制度で足りない分だけ備える」という考え方が基本です。

まずは高額療養費制度や傷病手当金など、公的な支援でカバーできる範囲を把握しましょう。

そのうえで、既契約の保険と重複しない形で、診断一時金→治療・通院給付→先進医療の順に保障を組み立てていきます。

約款の「支払事由」と「免責事由」は必ず確認し、いざというとき「給付金が出ない」という事態を防いでください。

迷ったときは、保険の専門家に相談することで、自分に合った保障設計が見えてくるはずです。

【FAQ】がん保険の選び方に関するよくある質問

がん保険は「診断一時金」だけでもいい?

診断一時金だけでも、基本的な備えとしては十分なケースが多いです。

診断一時金は使い道が自由なので、治療費だけでなく生活費や交通費などの諸費用にも充てられます。

ただし、治療が長期化した場合まで手厚く備えたいなら、治療給付(通院・抗がん剤など)や、複数回支払われる診断一時金も検討すると安心です。

貯蓄の余力と、どこまでリスクに備えたいかで判断してみてください。

上皮内新生物(上皮内がん)でも給付金は出る?

出るかどうかは商品次第で、約款確認が必須です。

上皮内新生物の扱いは「悪性新生物と同額」「減額」「対象外」の3パターンに分かれます。古い契約ほど対象外になっているケースが見られるため注意が必要です。

上皮内新生物は女性の子宮頸部や乳房で見つかることも多いので、加入前に“上皮内新生物の支払条件”をチェックしておくのがおすすめです。

先進医療特約は本当に必要?

迷ったら付けておく価値は高い特約です。

先進医療を受ける確率は高くない一方で、月100円程度で数百万円規模の保障を備えられるため、費用対効果は良いといえます。

ただし、医療保険などですでに先進医療特約を付けているなら、がん保険で重ねて付ける必要はありません。重複していないか確認し、足りない場合だけ追加しましょう。

医療保険とがん保険、どちらを優先すべき?

基本は医療保険を優先し、必要ならがん保険を上乗せします。

医療保険はがん以外の病気やケガにも対応でき、守備範囲が広いのが強みです。まず土台を作るなら医療保険が考えやすいです。

一方で、がんの備えを手厚くしたい人や家族歴が気になる人は、がん保険を追加する価値があります。「医療保険で基本+がん保険で上乗せ」が一般的な組み合わせです。

がん保険はいつ入るのがいい?見直しは必要?

入るなら健康なうちに早め、見直しは定期的に必要です。

保険料は若いほど安く、また待機期間(90日)があるため「必要になってから」では間に合わないことがあります。加入は早めが基本です。

見直しは5〜10年ごとが目安です。古い契約だと入院・手術中心の保障になっていることがあり、通院治療が主流の現在に合っているかを定期的に確認してみてください。

持病があると入れない?代替手段はある?

入れない場合もありますが、代替の入り方はあります。

持病の種類や程度によっては、通常のがん保険に加入できないことがあります。

その場合は、以下の選択肢を検討してみてください。

  • 引受緩和型がん保険
    告知項目が少なく、加入しやすい。保険料は割高
  • 無選択型がん保険
    告知なしで加入できる。保障内容や保険料に制限あり
  • がん診断後の保険
    一部の保険会社で、がん経験者向けの商品を取り扱い

保険料は割高になりますが、備えがゼロよりは安心です。複数の保険会社に相談し、加入できる商品を探してみてください。

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